遺言③ 遺言の書き方

実際に書いてみましょう。

まずは、悪い例です。



悪い例とは言うものの、まずは、これでいいのです。
最初から、法律で決まっているように、きちんと書こうとしなくてよいです。
後から直せばいいんです。

一番大事なのは、あなたの気持ちです。
二番目に大事なのが、法律です。

まちがい① 全部か、一部か、わからない。

悪い例では、「財産」「株式」「不動産」「現金・預金」と書かれていますが、「全部なのか、一部なのか」が、はっきりしません。

何もかも、全部を、1人に相続させるのであれば、
「私の財産の全て」と、書いてください。

株式全部をAさんに、不動産全部をBさんに、
という
場合は、

「私の株式の全てをAに
「私の不動産の全てをB」と、書いてください。


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まちがい② 財産の、詳しいことが、はっきりしない。

「預金の一部はAさんに、残りの預金をBさんに」
と相続させるのであれば、銀行名・金額など、具体的な内容を書きましょう。

(例)
○○銀行△△支店の預金は、Aに相続させる。
▽▽銀行□□支店の預金は、Bに相続させる。」

全ての預金のうち、○○万円はAに相続させる。
残り全てをBに相続させる。」

○○銀行の預金の、△△万円まで
Aに相続させる。
預金が△△万円を超えている場合、
残額は、
Bに相続させる。」


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まちがい③ だれが見ても、わかるように

不動産の場合、「実家の山」とか、「○○町の土地(番地が書いていない)」とか、書いてあることがあります。
書いた本人は、わかっているのでしょうが、子供は知らない、ということは、よくある話です。
面倒ですが、都道府県から番地まで正確に書きましょう。

また、不動産は、土地と建物に分かれていますので、
「不動産」という書き方も、イマイチです。

「○○県・・・番地の、土地と建物
「自宅の不動産全部
というように、書きましょう。

不動産を、たくさん持っている方は、「自宅」という書き方も、イマイチです。
「亡くなる直前に、住んでいたところ?」
「住民票の住所のところ?」
「書いた当時に、住んでいたところ?」
と、考えようによっては、複数の場所が思い当たることがあります。
やっぱり、面倒ですが、

「○○県・・・番地の土地・建物」と書きましょう。


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まちがい④ だれか、わからない。

同姓同名の人がいる可能性があります。
普通に考えれば、「子供のことだろう」「あそこの○○さんのことだろう」と、わかってはいるんですよ。
しかし、遺言は、法律的な働きを持つ、正式な文書ですから、
どんなに、ひねくれて読んでも、「世界に1人しかいない、この人」と、わかることが大事です。

家族なら、「私の妻の○○」「私の長男の△△」と、
続柄も付けて、書きましょう。

「私の」も重要です! ひねくれて読めば、どこかに、だれかの妻の○○さんは、いるでしょうからね。
孫や、甥姪の場合は、同姓同名の人がいないか、注意!


他人の場合は「住所」「氏名」「誕生日」まで、書きましょう。
ほんの少しでも、「この人じゃないかも」という可能性を、全部なくすには、これが一番です。

なお、「住所や誕生日まで、知らない。」という人に、財産をあげるのは、やめた方がいいでしょう。
他の相続人と、ケンカになるのが、目に見えています。


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まちがい⑤ 「引き継ぐ」「渡す」などの言葉

妻や子供など、相続人に財産をあげたいときは、
「相続させる」

相続人ではない人(他人はもちろん、普通は相続人にならない、孫や兄弟なども含む)に財産をあげたいときは、
「遺贈する」

という言葉を、使いましょう。

「預ける」「渡す」などでは、あげたいのか、保管を任せるだけなのか、ハッキリわからないので、遺言が使えないことがあります。

ほんの少しのマチガイで、大事な遺言をダメにしないために、正式な言葉を使いましょう。


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まちがい⑥ 日付と、自分の名前

当たり前のようで、忘れやすいのが、日付です。
「年」「月」「日」を、正確に書きましょう。
「○年△月吉日」という書き方も、ダメです。

自分の名前も、「あなたを知らない、他人が見ても」ということを忘れずに、
「住所」「氏名」「誕生日」まで、書きましょう。

「亡くなった人の家から、出てきた遺言なんだから、わかるでしょ。」
と、言いたいかもしれませんが、家から出てきた遺言、ということは、見つけた人がそう言っている、ということ以外に、証拠がありません。


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では、良い例を、見ましょう。

封をしましょう。

書いた遺言は、封筒などに入れて、封をしましょう。

封をしていないからといって、遺言が使えなくなることは、ありません。
しかし、改ざん(他の人が書き直したりすること)防止のためには、大事です。

また、せっかく遺言を書いたのに、だれも見つけてくれなかった、ということも、あります。
といって、相続人に、遺言の存在を知らさると、みんな気になって、ケンカになることもあります。


とても親しい人や、相続人ではない親戚に、コッソリたのんでおくのが、いいかもしれません。

遺言を見つけた方へ。

遺言は、家庭裁判所の検認(けんにん)を受けて、初めて、財産の相続手続に使えるようになります。
検認とは、遺言が改ざんされていないか、調べる作業です。

このページを見ている方に、コッソリ改ざんする人はいないと思いますが、
「ペンがひっかかって、何かを書いてしまった」
「コーヒーを、こぼしてしまった」
ということは、あり得ますので、遺言に書いてあることが気になるのをガマンして、封を開けずに、家庭裁判所に持って行ってください。

なお、検認は、遺言の内容について、確認する作業では、ありません。
内容がメチャクチャで、相続手続に使えない遺言でも、改ざんされていなければ、検認は通ります。

「検認されたのに、なんで使えないんだ!」と、怒らないでくださいね。
怒るなら、このホームページを見なかった、遺言を書いた人に、怒ってください。

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